「異なる気候におけるパッシブハウスの原則の適用」

国際的なパッシブハウス基準がドイツから世界の隅々に広がるにつれて、この基準がドイツの涼しい温帯気候とは異なる気候にどの程度適用できるかについての疑問が避けられず生じています。パッシブハウス研究所（PHI）はこの問題に対して重要な研究を行い、必要に応じて調整を行ってきました。たとえば、湿度の高い気候における除湿の追加需要を考慮して、クラシックなPH基準を適応させました。他の多くの機関や組織も、さまざまな気候タイプに対応した非常に低エネルギーの建物の設計と建設に関する広範な研究を行っています。いくつかの国では、国際的なPH基準の気候特異性に関する懸念に応じて、特別なパッシブハウス要件が開発されています。

これらの懸念にもかかわらず、建物の物理学にしっかりと根ざしたパッシブハウスの原則を理解することは、高性能の建物の建設や改修にとって重要です。実際、PHアプローチが世界中に広がるにつれて、高性能のエンベロープで達成可能なことについての議論が変わりました。さまざまな気候タイプで建設されたパッシブハウスの建物—特に監視され、その結果が公開されたもの—は、このアプローチの成功を示す揺るぎない証拠を提供しています。とはいえ、ほとんどのPHプロジェクト—特に初心者のPH実践者によって設計されたもの—は、ある程度、建物科学の実験として見なすことができ、特定の気候において最も経験豊富な実践者は新しい設計者に貴重な洞察を提供します。

地中海気候ソリューション

スペイン・バルセロナの認定PHデザイナー、ミシール・ワッスーフは、2015年の国際PH会議で、地中海の夏におけるパッシブハウスの適合性に関する疑念に対処するため、彼の地域の2つのPH住宅のモニタリング結果を発表しました。一つのプロジェクトは、1918年に建設された小さな連棟住宅の改修で、バルセロナ北部に位置しています。この改修は、カルデロン・フォルチ・サルサネダスの建築家たちによって計画され、主導され、壁、屋根、床スラブに断熱材を追加し、冬の太陽熱を増加させるために南西向きの天窓を含む新しい高性能・低放射率の窓を設置しました。暖房需要は171 kWh/m²aからわずか17.5 kWh/m²aに劇的に減少しました。驚くべきことに、この家にはエアコンがなくても快適な温度を維持していました。

同様の快適性の結果は、2015年のPHI会議で、スペイン北東部の5つのPH住宅（レイダに2つ、ピレネーに3つ）のモニタリングに基づいて、建築家のホセップ・ブニエスクとシルビア・プリエトによって報告されました。彼らは、新築と改修の両方において、パッシブハウスは必須であるべき、または少なくともクライアントが快適さ、経済的利益、地球の福祉のために求める基準であるべきだと結論づけました。2009年からPH手法を採用し、その印象的な結果を目の当たりにしてきた建築家として、彼らは他の設計アプローチに戻ることは道徳的に不可能だと述べました。

混合湿潤気候への適応

バージニア州の経験豊富なPHデザイナー兼ビルダーであるアダム・コーエンは、混合湿潤気候におけるパッシブハウスの原則を適応させる最前線に立っています。彼は、熱的エンベロープ内に商業用キッチンを備えた大規模な集会所の設計と建設を含む、アメリカ合衆国における多くのPHの初の実績を達成してきました。また、最近では歯科クリニックの設計も行っています。

コーエンによれば、これらの気候において最も重要な考慮事項は、特に過渡期において直接的な太陽熱の取得を制限することです。過熱が重大な問題となる可能性があるためです。建物に入る湿気を減らすためのエネルギー回収換気装置（ERV）は必須であり、ERVにおいて入ってくる潜在的および感覚的な負荷を低下させるための事前冷却および事前除湿ループの設置も重要です。最後に、建物の居住者は、パッシブハウスの建物が熱を保持し、湿潤気候では夜間の冷却が実用的でないことを考慮し、最も暑い月における内部熱取得の管理について、非自動シェーディングシステムを活用したり、長時間の調理やプラグ負荷を制限したりすることについて教育を受ける必要があります。

穏やかな気候の考慮事項

穏やかな気候では、パッシブハウスのエンベロープを通じて空間調整負荷を最小限に抑えることができるため、異なる課題が浮上します。換気と空間調整配布システムを組み合わせることで、スペースを節約する利点が生まれます。しかし、空間調整は通常、換気よりも高い空気流量を必要とするため、この戦略には固有の課題があります。

カリフォルニアのデザイン/ビルド会社であるOne Sky Homesは、革新的なソリューションを試験的に導入しています。彼らのサニーベールの住宅改修では、熱回収換気装置（HRV）とミニスプリットヒートポンプを設置し、共用エリアに新鮮な空気と調整された空気を供給しています。どちらの機器もダクトを使用せず、廊下が供給プレンムとして機能し、空気を寝室に運びます。効率的な電子コミュテーテッドモーター（ECM）を備えた低流量の排気ファンが継続的に稼働し、新鮮で調整された空気を寝室に引き込むのを助けます。室内の空気品質とエネルギー使用のモニタリングにより、この戦略の効果が確認されています。

雨の多い地域における湿気管理

アメリカ合衆国の太平洋北西部のような雨の多い地域では、パッシブハウスを含むすべての建物にとって、バルク水管理が重要な問題となります。バルク湿気が排水または蒸発できる通路を提供する通気性の雨スクリーンは、外部サイディングのすぐ内側に配置されており、これらの地域での重要な詳細となります。パッシブハウスの実践者は、この機能を必要な外部断熱材と組み合わせることに熟練しています。

これらの地域で一般的な外壁構造は、外部から内部に向かって、外部サイディング、外部断熱材の上に耐候性バリアを保持するためのバテンによって作られた通気性の雨スクリーンの隙間、そして最後にスタッド壁が含まれます。一部の建設業者は、ワックス浸透外部シースを使用しており、これはその接合部が完全にシールされている場合、耐候性バリアと空気バリアの両方として機能します。

気候特有の機械換気

機械換気システムは、地元の気候を考慮して設計する必要があります。寒冷気候では、HRVの熱回収効率は少なくとも80パーセントであるべきですが、涼しい温帯気候では、最低効率は75パーセントに低下する可能性があります。さらに、冬季において新鮮な屋外空気の湿度が非常に低いため、寒冷気候では適切な室内湿度レベルを維持するためにERVを使用する必要があるかもしれません。

非常に穏やかな気候では、窓をほぼ一年中開けておくことができるため、機械換気の必要性について疑問が生じることがあります。ニュージーランドの穏やかな気候の地域で行われた最近の研究では、3つの気候ゾーンにわたる15軒の住宅でこの疑問を調査しました。これらの建物は気密性と室内汚染物質レベルについてテストされました。調査結果は、非常に隙間の多い家でも良好な室内空気品質を保証するものではないことを明らかにしました。汚染物質レベルは、日々の風の条件に大きく依存していました。この研究は、多くの他の研究が観察していることを確認しています：建物の外皮におけるランダムな隙間は、健康的な室内空気品質を保証するものではありません。

室内空気質に関する考慮事項

すべての気候において、室内空気質は積極的に対処する必要があります。パッシブハウス構造に新鮮な空気を取り入れるために常に機械換気を行っていても、すべての室内空気質の懸念が解決されるわけではありません。気密性の高い住宅では、特に住宅全体の床材のように、室内の表面積が最も大きい材料に対して、より毒性の少ない建材を使用することがますます重要になります。

エンジニアードウッドを使用する際は、床材やキャビネットの両方に対して、ホルムアルデヒドが少ないかホルムアルデヒドフリーの製品を検討してください。カリフォルニア州大気資源委員会（CARB）は、適合する木材製品のリストを維持しており、これらの製品を選ぶことで室内のホルムアルデヒドレベルを40％以上削減できることが研究で示されています。

キッチンの換気は、パッシブハウス住宅において特有の課題を呈します。PHアプローチはキッチンエリアからの空気の排出を前提としていますが、必ずしもレンジフードを指定しているわけではありません。しかし、研究によれば、このアプローチは機械システムの設計や、調理器具がガス、電気、または誘導であるかどうかによって、室内空気質が悪化する可能性があることが示されています。

調理に関連する汚染物質—燃焼副産物や調理プロセス中に生成される粒子や化学物質—を最適に排出するためには、ストーブの上に中心に配置されたレンジフードが推奨されます。すべてのバーナーをカバーし、1分あたり100〜200立方フィート（2.83〜5.66 m³）のターゲット換気を提供することが重要です。平底のフードは、より円錐形のデザインと比較して汚染物質のプルームを捕らえるのに効果的ではありません。設置後の換気システムの調整と定期的なメンテナンスを行うことは、適切な機能を確保するために重要であり、居住者はシステムの操作について教育を受ける必要があります。

気候の種類に関係なく、現在、世界中でパッシブハウスの原則を成功裏に実施した例が存在します。これらの原則の世界的な採用は増加し続けており、適切な適応と地域条件の理解があれば、パッシブハウスデザインは地球上のほぼすべての気候において、卓越した快適さ、健康上の利点、エネルギー効率を提供できることを証明しています。